映像制作にAIは大変有効な技術です。しかし動画制作においては、AIといっても様々な種類がありそれぞれ用途や使用方法が違います。
この記事はVYOND開発元GoAnimate社のAIに関する記事(2024年5月)を要約し、現時点のAIと映像制作についてまとめてみました。
生成AIと生成AIビデオ
AIは自動運転車や最初のチャットボットなどの高度の技術として一部のビジネスで活用されていましたが、2022年後半にChatGPTが市場に登場し、AIのカテゴリを代表するようになりました。ChatGPTはプロンプトに対してオリジナルの応答を生成できる生成AIです。その高品質な応答と様々なタスクへの広範な応用により世界を驚かせました。
生成AI、GPT-3のような大規模言語モデルは、大量のテキストデータをトレーニングしたプロンプトを受け取り、その入力に対して統計的にもっともらしい言葉を見つけ出します。その経験とチューニングに基づいて生成AIは進化しつづけています。
生成AIの画像や音声モデルも同様の方法で動作します。
これらの分野は2023年を通じて大幅に成長し、今日では強力なアプリが数多く市場に出回っています。
生成AI動画は、データ量の多さと動画コンテンツを作成するために必要な高い計算力のため、2024年5月現在、まだ初期段階という状態です。しかしながら、生成AIの進化速度を考えると、生成AI技術は動画制作の中心になる日もすぐに訪れるかもしれません。
AIビデオには5つの種類がある
企業がAIでビデオを生成するという場合、これには5つのAIの種類があることをご存じでしょうか?VYOND開発元GoAnimateでは、AIビデオといわれる分野の主要なベンダーを調査しました。AIビデオプラットフォームには、以下の5つのカテゴリーがあります
- 生成AIビデオ:テキストプロンプトからオリジナルの映像を生成。
- AI対応のストックメディア検索:ストック映像と音楽を自動で組み合わせてビデオを作成。
- 合成AIビデオ:AIアバターやディープフェイクを使用したビデオ生成。
- AI対応のビデオ編集:ビデオ編集を迅速化し、特別な効果を追加。
- AI対応のビデオ作成(Vyond):ビジネス用途に最適化された総合的なビデオ作成プラットフォーム。
各カテゴリーの利点と欠点を詳述し、企業がどのAIビデオプラットフォームを選ぶべきかについて解説しています。
生成AIビデオ
生成AIビデオプラットフォームは、テキストプロンプトから直接ビデオを生成します。ユーザーが入力したテキストに基づいて、AIが自動的にビデオコンテンツを作成する技術です。(2024年3月)現在、個人のクリエイターやアーティストにとって最適な生成動画オプションはRunwayです。プロンプトを入力すると、最初に4秒の動画が生成され、視覚スタイルの変更やカメラの動きを制御するための設定がいくつか用意されています。最初の4秒が気に入った場合は、4秒ずつ追加して作成を続けることができます。
もう一つのオプションはOpenAIのSoraモデルです。現在は限定レビュー中(2024年5月現在)いくつかのプレビュー動画では、Soraが編集のセンスを持っており、コンテンツの種類を理解できることも示されています。上記の宇宙飛行士の映画の例では、頻繁なカットや緊迫感のあるクローズアップショットを組み合わせ、予告編にふさわしい興奮と壮大さを伝えるシーケンスを生成しました。
生成AI動画プラットフォームのメリット
アイデアの創出:プロジェクトのためにビジュアルインスピレーションが必要な場合、新しいムードやビジュアルスタイルに飛び込むために生成された動画は新鮮な視点を提供します。
独自の見た目:生成ツールは、現実世界で再現するのが非常に難しい(あるいは不可能な)動画を作成することができます。
低コストの特殊効果:プロンプトに応じて、数百万ドルかかり、CGI動画の専門家が必要な映像を生成AIで作成することができます。
生成AI動画プラットフォームのデメリット
編集性の低さ:出力に対する制御の多くは、元のプロンプトを変更し、動画を何度も再生成することに依存しています。その他の既存の制御は当たり外れがあります。
ブランド管理の低さ:オーディエンス向けのブランドコンテンツを作成する際、製品やサービスに関連するスタイルや視覚要素をコントロールすることが重要です。しかし、限られた編集機能のため、生成AIは優れたブランドツールキットを提供できません。
高い時間投資:複雑さ、学習曲線、およびプロンプトの調整が必要なため、プロジェクトの時間的な予測が難しくなります。
不明確なプライバシー基準:各アプリのポリシーによっては、プロンプトやブランド資産が微調整や新しいモデルのトレーニングに使用される可能性があります。つまり、元の資産が他の誰かの出力にリミックスされて現れる可能性があります。
AIを活用したストックメディア検索プラットフォーム
ユーザー体験は生成AI動画に似ていますが、AIを活用したストックフッテージ検索プラットフォームは、実際には生成AI動画モデルを使用していません。代わりに、以下の手順でテキスト/音声生成とエージェントソフトウェアの組み合わせを使用します。
- プロンプトを理解し、テキストスクリプトを生成し、AIで音声ナレーションを作成。
- ストックメディアデータベースを検索し、トピックに合った音楽とビデオコンテンツを見つける。
- すべてを組み合わせて、迅速に公開できるビデオを作成。
invideo AIはそのようなプラットフォームの一例です。プロンプトを入力すると、ビデオのスクリプトを生成し、ナレーションと一致するストックフッテージ(ストック素材)のシーケンスを提供してプロジェクトを開始します。その後、提案された素材を自分のものに置き換えたり、テキストプロンプトを使用してシーンを削除したり、スクリプトの一部を編集したりすることができます。
これらのプラットフォームはスピードを重視しています。アイデアを最短時間でビデオにするために設計されており、時間がない場合にソーシャルメディアコンテンツの制作をサポートするのに適しています。
ストックメディア検索プラットフォームのメリット
迅速な結果:ストック素材を探して集めるのに何時間も費やす必要がありません。迅速に使える提案を得られます。
ソーシャルメディアコンテンツに有用:スケジュール通りに投稿を続ける必要があるため、他のコンテンツタイプを制作しながら、公開カレンダーのギャップを埋めることができます。
ストックメディア検索プラットフォームのデメリット
不一致のストック素材の品質やコンテンツ:ニッチなプロンプトの場合、クリップのシーケンスが視覚的または内容的に意味をなさないことがあります。この場合、プロンプトを調整する必要があります。
編集性の制限:プラットフォームによって異なりますが、多くはスピードに焦点を当てているため、深いビデオ編集機能は提供されません。カスタムトランジションを作成したり、正確なトリミングを行いたいなどの微妙な編集をする場合は、別のアプリにビデオを移動させる必要があります。
実際には生成ビデオではない:編集可能かどうかに関わらず、ストックメディア素材を獲得するるだけです。
ストックライブラリへのアクセス制限:ビデオプラットフォームによって、アクセスできるライブラリが異なったり、プレミアムストック素材へのアクセスが制限されたりします。すべてを見たい場合や最高のものにアクセスしたい場合は、最も高価な有料プランに早期に登録する必要があります。
合成AI動画プラットフォーム
合成AI動画プラットフォームは、ディープフェイクジェネレーターとAIアバターアプリの2種類に分かれます。
ディープフェイクジェネレーター
このプラットフォームは、実際の人間の画像を取り込み、画像やビデオに埋め込んでリアルに見せることができます。この映像を使い実際の人物を脅迫、操作、または公の場で辱める行為を行うことができてしまいます。このプラットフォームが非倫理的な行動を推奨しているかぎり、ビジネスで使用することは避けるべきです。
AIアバターアプリ
AIアバタープラットフォームは、より有用で合法的かつ倫理的な範囲内で活動しています。トーキングヘッドビデオの制作を容易にします。AIアバターを選択し、スクリプトをアップロードして生成ボタンを押すと、これらのプラットフォームは迅速に結果を出し、動画を作成します。ここには多くのビジネスユースケースがあり、静的なテキストをプレゼンタースタイルのビデオに変えることができ、時間と労力をほとんどかけずに済みます。
このカテゴリーで人気のオプションはSynthesiaです。世界中のどこかで生まれたかのような多様な人物のライブラリからアバターを選び、スクリプトをアップロードし、各スライドにアバターを配置してシーンを並べます。これはGoogleスライドやPowerPointのような操作です。
Synthesiaの編集画面では、スクリプトを入力し、AIアバターがそれをどのように読み上げ、演じるかを設定できます。再生ボタンを押すと、アプリはスピーチを生成し、アバターが言葉を発する際の動きを再現し、設定したスライドを順次進行します。
また、Synthesiaはあなたの顔や声でAIモデルをトレーニングすることも可能です。これにより、スクリプトを入力するだけでトーキングヘッドビデオを迅速に作成できるようになります。ただし、アカウントのセキュリティを厳重に保つ必要があります。このツールへの無制限のアクセス権を持つ人がいれば、あなたのアイデンティティを盗んでディープフェイクコンテンツを作成する可能性があります。
合成AI動画プラットフォームのメリット
トーキングヘッドビデオの制作コスト削減:俳優やスタッフを雇う代わりに、スクリプトを書いてビデオを生成するだけで済みます。これにより、プロジェクトの予測がしやすくなり、ブレインストーミングから公開までのステップが少なくなります。
テキストベースのコンテンツよりも優れた視覚的魅力:AIアバターを使用することで、トレーニングや説明ビデオなど、多くのユースケースにおいてより魅力的なコンテンツを作成できます。
合成AI動画プラットフォームのデメリット
不気味の谷現象を引き起こす:特に大画面で視聴すると、人間に近い外見がかえって不気味さや不安感を引き起こします。これがリアリズムに大きな影響を与えます。
低いエンゲージメントフォーマット:トーキングヘッドビデオは簡単に作成できますが、エンゲージメントの価値が非常に限られています。特に複雑なアイデアを記憶に残る形で説明したり、視聴者を感情的に引き込んだりする場合には、この問題が顕著です。
柔軟性の低さ:これらのプラットフォームは通常、AIアバターに焦点を当てています。他の種類のビデオコンテンツを作成したい場合は、別のツールを探す必要があります。
AIを活用した動画編集ツール
このカテゴリーは、これまでに紹介したものよりも広範で多様です。ここでは、AI動画プラットフォームが3つの目標を持っています。
- ワークフローの一部を自動化して動画制作のスピードを上げること。
- より高度なツールを学んで使うことなく、簡単に特殊効果を追加すること。
- 動画を複数のチャネル向けに再利用すること(例えば、ウェビナーからTikTok向けの動画に変換するなど)。
AIを活用した動画編集ツールのメリット
迅速な動画制作:AIが動画編集の一部を自動化することで、編集プロセスが大幅に短縮されます。これにより、制作時間が削減され、プロジェクトの迅速な完了が可能になります。
簡単な特殊効果の追加:高度なツールを学ぶ必要なく、AIが簡単に特殊効果を追加できます。これにより、初心者でもプロフェッショナルな見た目の動画を作成できます。
マルチチャネル対応:AIが動画を異なるプラットフォーム向けに最適化して再利用することで、同じコンテンツを複数のチャネルで効率的に利用できます。例えば、長いウェビナーを短く編集して、TikTokやInstagram向けのクリップとして活用できます。
AIを活用した動画編集ツールのデメリット
機能の多様性:各プラットフォームは独自のアプローチで動画編集を行うため、必要なすべてのツールが揃っているとは限りません。そのため、特定のニッチ機能を持つ他のAI動画ソフトウェアソリューションにも加入する必要があり、ニーズによってはコストがかさむことがあります。
AIを活用した動画制作(Vyond)
Vyondはビジネス向けのAIを活用した動画制作プラットフォームとして、すべてのツールを備え、一貫して高品質なコンテンツを制作できる点で他のサブカテゴリーと比較して優れています。また、各ツールを使いこなすために多くの時間を費やす必要がありません。
以下は、生成AI、AIを活用した動画編集、ストックメディア検索を組みわせたVyondの動画制作プロセスの利点です。
Vyond Go
Vyondでは、シンプルなテキストプロンプトを入力し、レイアウト、雰囲気、フォーマット、言語などのさまざまなコントロールを選ぶことで、プロフェッショナル品質のスクリプトと動画ドラフトを生成できます。これらのオプションにより、以下のようなシナリオベースの動画を作成できます。
- キャラクター、シーン、トランジションを含む任意のトピックに基づく動画
- アニメーションのトーキングヘッドナレーターをフィーチャーした動画
- ナレーション、テキスト、ストック画像や動画を組み合わせたキャラクターフリーの動画
テキストや画像の変更は、Vyond GoのQuick Edit機能で直接行うことができます。さらに、より詳細な変更を加えたい場合は、Vyondのフラッグシップ動画制作プラットフォームであるVyond Studioに動画ファイルを取り込むことができます(Vyondのサブスクリプションには両方が含まれます)。また、プラットフォームのAI Auto Translate機能を使えば、70以上の言語にコンテンツを簡単に翻訳することができます。
Vyondの豊富なライブラリとカスタマイズ機能
Vyondはプロジェクトで使用できる豊富なプロップやアセットのライブラリを備えています。もし求めているものが見つからない場合、Text to image AIツールを使用して、Vyondスタイルで新たなアセットを生成することもできます
VyondのAI Video to Action機能
AI Video to Actionを使用すると、現実世界で複雑なアクションを実行している自分を録画し、その映像をVyondにアップロードできます。VyondのAIエンジンは、そのアクションを自動的にビデオ内のキャラクターに反映させることで、制作時間を節約し、アニメーションキャラクターのリアリズムを向上させます。
AIを活用したストックメディア検索
VYONDにはShutterStockストック素材を搭載しており、AIを活用したストックメディア検索で膨大な数の画像、映像、音声の素材を探し出し、使用することができます。
ビジネス向けAI動画プラットフォームの選択
新しいツールを試すたびにニッチな動画制作ツールを導入することは、ソフトウェア予算を急速に使い果たす方法です。また、各動画の制作に複数のアプリを使用すると、ワークフローが複雑化し、学習曲線も増えます。 そのため、Vyondは理想的な選択肢となります。このカテゴリーのベスト機能をすべて取り入れることで、ユーザーは幅広いビジネスユースケースに対応するさまざまなスタイルの動画を迅速に作成できます。具体的には、Vyondは以下の利点を提供します
VYONDの利点
- コンテンツの制御が容易:生成AIに比べて、コンテンツの編集、更新、ブランディングが簡単に行えます。
- より魅力的なコンテンツの作成:合成AIプラットフォームよりもエンゲージメントの高いコンテンツを作成できます。
- 高品質なストックメディアの利用:Shutterstockへのアクセスが可能で、最高品質のライブラリを利用できます。
- ビジネスユースケースをカバーするAI編集ツールの範囲:最も一般的なビジネスユースケースをカバーするさまざまなAI編集ツールが揃っています。
この記事について
このAIに関する記事は、VYOND開発元GoAnimate.inc.,の「5 Types of AI Video Platforms (with Examples)」を翻訳し一部日本用に編集して作成しています。株式会社ウェブデモはGoAnimate.inc,と日本におけるパートナーとして契約し、掲載の許可を得ています。
この記事は2024年5月14日に公開された記事になります。紹介したAIサービス内容につきましては、2024年5月時点の内容となります事ご了承ください。